読書録:「面白南極料理人」西村 淳
面白南極料理人
西村 淳
新潮文庫
\514
2004年10月1日発行
2005年7月15日読了
著者は北海道出身の海上保安官。でもなぜか料理人として第30次南極観測隊と第38次南極観測隊ドーム基地越冬隊に参加している剛の者。本書は標高3,800m、平均気温マイナス57℃というウイルスさえも生きられない過酷な環境にあるドーム基地で、男9名が1年間過ごした越冬隊に参加した時の様子を記している。そんな環境で毎日いろんな観測を行う隊員たちの胃袋を満たしてやることが著者の使命であった。とまぁこう書けば崇高な仕事なのであるが、著者の視点は『口の悪い居酒屋の親父』(佐々木穣氏の解説より)。読んでいるとそんな過酷な環境に置かれているのを忘れてしまうくらい面白可笑しく、隊員たちの日常が描かれているのである。なのでメニューに「豪華蟹づくし日本で食えば一万五千円コース」だの、“宮内庁御用達中央畜産御推薦松阪牛六kg肉塊二〇万円也”を使った「ステーク・ア・ラ・トルネード マデラソース」だのと書かれていれば、『むむむ、それは税金から出ておるのだろう?』とつい目が三角になりそうなのだが、普通の恰好でいれば10分で凍死しそうな屋外環境の下、毎日各種観測をこなしている人たちの食事であるのだから、「まぁいいよなこれくらい」と思わずにはおれないのである。
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