読書録:「頭上の脅威」デイル・ブラウン
頭上の脅威(上)(下)
デイル・ブラウン/訳・伏見 威蕃
ハヤカワ文庫
\660(上・下とも)
1999年1月15日発行(上・下とも)
2005年12月10日読了
2年振りのデイル・ブラウン作品である。著者はワタシが今もっとも安心して読めるテクノスリラー作家であるが(ちなみに翻訳者もこの手の小説を訳させたら今もっとも安心して読める方である)、前回読んだ『レッドテイル・ホークを奪還せよ』の舞台が海外(リトアニア)であったのに対し、本作品は全編アメリカ国内だけである。アメリカの防空態勢を問う本作品は、同時に民主主義国が持つ犯罪者への対応の仕方を考えさせる作品でもあるのではないだろうか。大惨事を引き起こした犯人が目の前にいるのに、取り締まる側は法に縛られて手も足も出せないジレンマ。結局そこで取り逃がしたために第2、第3の惨事が起きてしまう。最初の時に躊躇わずに機関砲をぶっ放していれば犯人は死ぬことになるが、同時にその人物による次の犠牲者を出すことも防げることは明白だというのに。犯罪者の人権を尊重するあまり、ともすれば被害者の人権がないがしろにされてしまうという現実を如何するべきなのだらうか。
ちなみに翻訳者のブログはこちら↓。
【☆威蕃秘笈☆――本と音楽と翻訳 by 伏見威蕃】
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