読書録:「双生の荒鷲」ジャック・ヒギンズ
双生の荒鷲
ジャック・ヒギンズ/訳・黒原 敏行
角川文庫
\1,000
1999年5月25日初版発行
2006年5月10日読了
先に読んだ“鷲”モノがちょっと・・・だったもんで、今度は期待して読む。結果は期待通りであった。先の“鷲”モノが佐々木譲の描く『日中戦争航空秘話』であるならば、こちらはジャック・ヒギンズの描く『第二次大戦航空秘話』である。この二つの物語、年代的にはほぼ同じなのが面白い。
それはともかく、実に久しぶりに読むヒギンズ作品である。世界的ベストセラー「鷲は舞い降りた」を読んだのは独身の頃であるからもう15年くらいは経っているはず。ということで、本書は運命のいたずらでアメリカとドイツに別れて住むことになった、天才的な飛行技術を持つハリーとマックスの双子の兄弟が辿る数奇な物語である。時が進み第二次大戦が始まり、互いを敵として戦う羽目になった二人を襲う試練と悲劇。あまりの面白さに450ページを越える長編をたった2週間で読み切ってしまった。
飛行機マニア的視点でいうと、本書に登場する飛行機でメインとなるのはウェストランド・ライサンダーとフィーゼラーFi156シュトルヒである。カバーにはホーカー・ハリケーンとメッサーシュミットMe109(本書の記述に準拠)が描かれているが、主人公の二人はこれら戦闘機にも乗るもののむしろ脇役に甘んじている。本書に登場する機体は幸いほとんど知っていたので、うまくアタマの中でイメージすることが出来た。本書のような物語の場合、登場するメカを知っているか否かで話の面白さがずいぶんと変わってくるのである。
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コメント
面白そうですね。ヒギンズなので早川だと思ってたら角川ですか。どうりでタイトルを知らなかったわけだ。しかしヒギンズはライサンダーとシュトルヒが好きみたいですね。ライサンダーは「鷲は飛び立った」、シュトルヒは「狐たちの夜」にも出てきましたよね。「鷲は舞い降りた」ではモスキート夜戦が、「鷲は飛び立った」ではスピットが脇役ででてましたし。「双生の荒鷲」、私も読んでみたいと思いました。
投稿: あしか | 2006.05.13 12:01 午前
これはいい作品ですよ~。なんだか壮大な交響組曲でも聴いているかのような、重厚な作品です。余韻を残しつつ静かに消えていくようなエンディングも秀逸。ぜひお読みあれ。(^o^)
投稿: KWAT | 2006.05.14 01:57 午前