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2006.08.16

読書録:「零戦撃墜王」岩本 徹三

Zerosengekitsuiou2
零戦撃墜王 空戦八年の記録
岩本 徹三
光人社NF文庫
\660
1994年6月15日発行

2006年8月12日読了

 今年もやってきた『終戦記念日あたりに戦争の本を読む』企画第1弾である。著者は太平洋戦争における旧日本海軍航空隊のトップエースのひとり。総撃墜数は自称の202機から約80機まで諸説あるが、いずれにせよ戦闘空域が広い太平洋の戦場でこれだけの戦果を挙げたのだから、その腕前は素晴らしいものである。本書は戦後すぐに病没した著者が書き残した、中国戦線から太平洋戦線、そして本土防空戦に至る戦闘記録である。苛烈な空中戦をいともあっさりとした記述で描写しているが、それはやはり卓越した技量を持つ著者ならばこそであらう。激闘を生き残るには常に冷静さを失わず、戦闘の全体像を見極め的確な行動を素早く取ることが必要なのだということがよく判る。また、上層部の理不尽な命令に抗する場面もいくつか描かれているが、それは戦争中の混乱もさることながらやはり実績のある著者ならばこそ、ということもあったのだらう。先の戦争の最前線の一端を知ることのできる一冊である。

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コメント

私もこの本好きです。
なんていうか、読んでると岩本さんが日本刀を上段に構えた、まさにサムライのイメージが浮かんできます。
空戦に対する言葉は洋の東西を問わず、「エース」に共通していますね。

投稿: あしか | 2006.08.18 11:38 午後

 我々素人から見ればもんのすごく大変そうなことを(命懸けてますし)、なんか「近所のコンビニで買い物してきました」みたいにサラッと書かれているので、かえって凄みを感じますよ。そう、まさにサムライですね。戦後すぐに亡くなられてしまったのが本当に惜しいです。もっといろいろ話を聞かせて欲しかったですよ。

投稿: KWAT | 2006.08.19 01:02 午前

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