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2007.08.02

読書録:「南の川まで」野田 知佑

Minaminokawamade2南の川まで
野田 知佑
新潮文庫
\400
1999年2月1日発行

2007年8月1日読了

 2年ぶりに野田知佑を読む。梅雨明けの暑さには水面上1mの涼しさが欲しいところである。本書は今までの北米紀行とはうって変わって、ニュージーランドやフィジー、インドネシアというタイトル通り“南の川”紀行がメインである。北米や、イギリス人が作った国であるニュージーランドなどでは颯爽と自然に溶け込む著者だが、やはりアジアの混沌の中ではそうはいかない。インドネシアの川下りは調子が狂いっぱなしでホトホト疲れたようである。紀行の最後が投げやりなところにそれが垣間見えて可笑しい。

 後半のエッセイは、いつものごとく“日本の河川行政との闘いの日々”を綴ったといってもいいような具合である。まぁ確かに長良川河口堰だの諫早湾干拓(本書とは関係ないが)だの、一度走り出すと滅多なことでは止まらない日本の開発行政には困ったちゃんな面が目に付く(だから島根県の中海干拓・淡水化事業が中止になったのは画期的なことなのだ)。ただ立場を変えて見れば、源流から河口までの距離が短く、急峻な山を一気に駆け下りて海に注ぐような地勢が多い我が国の川には、ある程度の治水事業が必要なこともまた事実。それに事業者側から見れば『たまに来て遊んでるだけのヤツに言われたくはない』という意見もまたあるわけで、ここに我が国の自然保護に関わる市民運動の難しさがあるのだらう。たぶん、守るべき自然を有する自治体やそこの住民に、「カネはないけど心が豊かならいいじゃないか」という価値観を持たせない限り、自然保護運動というのはうまく回らないと愚考するのである。どんな山奥でもテレビが映り、マスコミが拝金主義を煽る今の世の中でそれができるか、といったらすんごく難しいだらうな、とも思うのだが。(~。~;)

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