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2007.10.20

読書録:「キューバ」スティーブン・クーンツ

Cuba_aCuba_bキューバ(上)(下)
スティーブン・クーンツ/訳・北澤和彦
講談社文庫
\914(上)・\895(下)

2003年4月15日第1刷発行(上・下とも)
2007年10月20日読了

 キューバのカストロ議長はここ数年健康悪化で入院生活を送っていると言われているが、健康不安説そのものはもう10年くらい前から出ている。この作品は1999年に書かれたものだが、作中のカストロ議長はすでに死の床にあるのである。一方、アメリカはキューバのグァンタナモ海軍基地に秘密裏に保管してあった生物兵器の弾頭を、隠密のうちに本土に移送しようとするが、その弾頭を積んだ貨物船が1隻行方不明に。カストロ議長の後継者争い、キューバの生物兵器計画、ソ連が残した弾道ミサイル・・・それらがひとつに結びついたとき、アメリカは生物兵器による攻撃の危機に晒されることになったのである。移送を監視していたアメリカ海軍空母艦隊を率いる主人公、ジェイク・グラフトン少将はこの事態を乗り切ることができるのか、戦いの火蓋は切って落とされた---。
 最初はゆったりと流れていたかのような時間が(政治的な話が多いので余計にそう感じる)、読み進めるにしたがって加速度を付けていきクライマックスになだれ込んでいく、話の進め方は見事。攻撃機パイロット出身の著者なので空戦シーンはお手の物であるが、本書にはそれほど多くは出てこない。だが戦闘シーンのひとつひとつが画として想像できるくらい整然としているのは、やはり軍人出身なるが故か。またキューバ空軍にひとり骨のある戦闘機パイロットを配したのが、戦闘シーンにいい彩りを添えている(あるいは敵役がバカばっかではさすがに面白くないと思ったか(^◇^;))。
 キューバを舞台にしたフィクションの軍事小説は、ワタシ的には初めて読んだので、物語の背景にあるラテンアメリカ的風景が新鮮でかなり楽しめた。また、些細なことかも知れないが、日本語題名をこの手の小説によくある「ナンタラを撃て!」だの「ドウタラ撃滅計画」だのとせず、原題のままにしたのがワタシ的には好感が持てた。ま、どうでもいいようなことではあるが。(^◇^;)

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