読書録:「「攘夷」と「護憲」」井沢 元彦
「攘夷」と「護憲」
幕末が教えてくれた日本人の大欠陥
井沢 元彦
徳間文庫
\571
2005年12月15日初刷
2007年11月9日読了
1853年7月、アメリカのペリー提督率いるアメリカ海軍の東インド艦隊、いわゆる“黒船”が浦賀に来航した。それが引き金となって江戸幕府は長年の鎖国政策をやめて開国へと踏みきり、やがて1968年の明治維新へと繋がっていくのである。この間15年、なぜそんなに時間がかかったのか。本書はまず、当時アジアを浸食しつつあった欧米諸国の脅威という現実を見ることなく、机上の空論に拘り問題を先送りすることで日本の開国を遅らせ、そのために諸外国と不利な条約を結ぶことになり明治政府に大変な苦労を与えた「攘夷論」の本質を探っていく。そしてそれが、今の世の中にあって『憲法9条は絶対に守らなくてはならない、これさえ唱えていれば日本は平和なのだ』と頑なまでに信じ込んでいる「護憲論」と実によく似ていると指摘するのである。
ワタシも正直「護憲論者」には困ったモンだ、と常日頃感じているので、著者の主張にはすんなりと頷くことができた。今の世界情勢で『平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う』(日本国憲法前文より)のであれば、まずは自分の身を自分できちんと守れる国にしなくてはならないだらう。そうでなくては現実に地球上各地で起こっている紛争に対し、我が国は何らの手も打つことができず、それができなければ現実問題として『名誉ある地位を占める』ことなどできるはずがないのだから。
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コメント
サヨクの人々はなんで自衛権の否定を明記するように憲法改正せんのかねぇ?
そうすりゃ自衛隊もなくせるし、ソ連が攻めてきたら何もしなくても共産主義国家風の全体主義国家ができあがるのに。
みんなで仲良く虐殺されようよ?
投稿: はほ/~ | 2007.11.14 08:41 午後
うむ、言われてみればそれもそうだ罠。護憲ゴケンとバカの一つ覚えみたいに繰り返すだけでなく、積極的に「ありとあらゆる軍備を持たない」とかなんとか明記するような憲法改正を目指せばいいのに。せっかく国民投票法もできたんだしさ。(゚∀゚)
ま、実際問題としてゴケンな人たちは、今の憲法を一言一句違わずに遵守すれば自衛隊など存在できるはずがない、というロジックなんだろうけどね。ただそうすると憲法改正のための国民投票法にだって賛成しなけりゃならなくなるという矛盾。天皇の存在だって否定できなくなるしな。そのへんを突っ込まれると弱いんで、逆ベクトルの憲法改正(そっちこそ改悪だ(笑))は言わないんぢゃないかな。
投稿: KWAT | 2007.11.15 01:10 午前