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2008.01.20

読書録:「最終作戦トリニティ」リチャード・ハーマン・ジュニア

Firebreak2最終作戦トリニティ
リチャード・ハーマン・ジュニア
訳・大久保 寛
新潮文庫
\781
1998年4月1日発行

2008年1月19日読了

 とにかくF-15Eストライクイーグル大活躍の巻、である。著者は元アメリカ空軍の軍人でベトナム戦争にも従軍し、F-4、C-130、F-15などに乗ってきたベテランパイロット。本書は「第45航空団」「ウォーロード作戦」(いずれも新潮文庫)に続く“第45航空団”モノで、『中東三部作』(訳者の解説による)の最後を飾る作品である。新種の生物兵器を開発したイラクと結託したシリアはイスラエル侵攻を開始、対アラブ強硬論者の首相を戴くイスラエルは、反撃のため極秘裏に開発した核兵器を使用する機会を窺う。双方の最終兵器の使用を阻止すべく立ち上がるアメリカ、そしてイギリスに展開していた第45航空団に指令が下った---、的にまとめられる粗筋は、そもそもなぜシリアがイスラエル侵攻を開始したのかがよく判らない(爆)。イラクの生物兵器工場を破壊しに行く第45航空団のF-15Eの作戦(この作戦名が“トリニティ”[三位一体])は、イスラエルによるイラクのオシラク原子炉破壊作戦(バビロン作戦)を連想させるが、いくら物語中でイスラエルが一度失敗したからって、なぜ代わりに紛争当事者ではないアメリカがやらねばならないのか、その点もどうにもよく判らないのである。いくらF-15Eパイロットの主人公が大統領の孫で、たまたま第45航空団に所属しているからって、本当にそんなことやったらものすごい政治問題化するのではなかろうか。

 ・・・などと考えるのは野暮というものなのだらう。作者はこの作品で、F-15Eストライクイーグルがいかに低空侵攻作戦に於いて有能か、をただただ主張したかったのではなかろうか。そう思えるくらい、作中のF-15Eは凄い飛行機なのである。もちろん訓練中に事故で失われたり、対空砲火や地対空ミサイル、あるいはイラク空軍のSu-27(実際にはイラクはSu-27を採用していない)との空中戦で撃墜されたりもするが、とにかくこの手の任務にはF-15Eが最適だぜいベイベー!という作者の主張がひしひしと伝わってくるのである(笑)。ハッ、まさか本書の目的はイスラエルに対するF-15E売り込みのため?(^◇^;) ←本書オリジナルの刊行は1991年、イスラエルにF-15Eの派生型F-15Iラームの輸出が決まったのは1994年だし。

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