読書録:「長崎雨の港に死体が祈る」辻 真先
長崎雨の港に死体が祈る
辻 真先
徳間文庫
\485
1995年6月15日初刷
2008年3月12日読了
「奥志摩の海を死体が泳ぐ」に続く、ムセキニンことフリーライター夢瀬鬼人が探偵役のシリーズである。今回舞台となったのは長崎だが、意外にもあれほど全国各地を殺人事件の舞台にしている著者が、長崎ほどの有名観光地を舞台にしたのは初めてなのだそうだ。そのせいかどうか、諏訪神社や眼鏡橋、稲佐山などワタシですら行ったことのある著名なスポットが登場せず、観光案内としてはちょっと物足りないものとなった。あるいは次のために取ってあるのだらうか・・・え、ガイドブックぢゃないんだからって?(^◇^;)
それで肝心の物語であるが、ワタシ的には今回は最初から「ん、ひょっとして・・・?」と感じていた人物が、実は全ての裏で糸を引いていたのではないか、という終わり方であった。その意味では辻ミステリーにしては裏のかき方が甘かったような気もしないではない。今回のメインになるトリックも「ちょっとそれは無理ありすぎ」的だったし(いくらなんでもそんなことしてたら周囲の誰かは気付くだらうて)。とはいえ、それは物語の面白さを減殺するほどではないので、いつもの通り肩の凝らない楽しめるミステリーなのであった。
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