読書録:「八月十五日の開戦」池上 司
八月十五日の開戦
池上 司
角川文庫
\629
2004年7月25日初版発行
2008年7月31日読了
今年の『暑い季節に戦記文学』キャンペーン第一弾。この作品はもう涙なしで読むことができない。太平洋戦争の敗色濃厚な日本に対し日ソ中立条約の破棄を一方的に宣言し、しかしまだ条約が有効だった1945年8月9日に日本に対し戦端を開いたソ連。そして日本のポツダム宣言受諾など素知らぬ顔で、ソ連は8月15日に北海道占領作戦を発令、18日に北千島・占守島への侵攻を開始したのである。この歴史の事実を我が国は決して忘れてはならないのだが、今の日本の教育はこの終戦前後のソ連の非道な行為(もちろんシベリア抑留も含む)をほどんと教えない。それはなぜか、まで言い出すと話が脱線してしまうのでここでは触れないが。
それはともかく、本書はソ連の占守島侵攻時に、受けてたった日本陸軍第91師団第73旅団と独立戦車第11連隊を基幹とする守備隊の戦いの帰趨、そして日本分断の危機はいかに回避されたのかを描いた小説である。記録文学ではないので日本側の登場人物は仮名だが、書かれていることは概ね事実に基づいているようなので、日本国の運命がかかったこの北の小島での絶望的な戦闘の有様を知ることができる。ノモンハンやミッドウェーでの“敗残兵”が集められたこの島で、終戦の報を聞いて一度は祖国に帰れると希望を持ったあとの無法な侵攻に対し、兵士たちは祖国の命運を背負って本来なら懸けなくてもいいはずの命を懸けて戦ったのだ。我々は、今の我が国がこれら無名の兵士たちの命の上に成り立っていることを、いま一度心に刻む必要があるだらう。∠(゚゚ )
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コメント
終戦後・・・・
元日本兵の行動として挙げたいのは
インドネシア独立戦争に身を捧げた方々でしょうかねぇ~
私も数年前に知ったばかりですし
書籍で読んだ訳でもありませんけど・・(苦笑)
なぜ他国の独立の為に2千人もの日本兵が帰国もせず、参加したのか?正直不思議です
あえて予測するなら・・・
部隊・兵士がインドネシアの地元と方々と強く結びつき、溶け込んでいたのかなぁ?と
私には考えつく位で
基本アジア諸国ではヒール役日本なので
そうそう
こんな話は表に出てこないんでしょうねぇ
投稿: クルナス | 2008.08.03 12:14 午前
インドネシア独立戦争と日本兵との関わりについては、下記のサイト(というかメルマガ)に詳しいです。
JOG(036) インドネシア国立英雄墓地に眠る日本人
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h10_1/jog036.html
日本国内では確かにあまり表に出てきませんが(それが都合悪いと考える人たちがいるからでせう)、現地では当たり前に語られるとも聞きますよ。
投稿: KWAT | 2008.08.03 12:46 午後