読書録:「僕の妻はエイリアン」泉 流星
僕の妻はエイリアン
「高機能自閉症」との不思議な結婚生活
泉 流星
新潮文庫
2008年7月1日発行
2008年8月10日読了
「自閉症」と聞くと、テレビなどで「自閉症の人」として紹介される人の姿を思い浮かべる方が大半であらう。かくいうワタシもそうであった。しかし、やはり世の中はそうは単純に割り切れるものではない。昼と夜の境界は「時間」という物差しで分けることはできても、実際は夕暮れ時を挟んで次第に暗くなっていくように、いわゆるフツーの人と自閉症の人との境界もまた、実は連続しているのである(「自閉スペクトラム」という概念)。そしてその境界に位置する人のことを「高機能自閉症」あるいは「アスペルガー症候群」と呼ぶのである。
本書は高機能自閉症である「妻」の姿を「夫」の目で綴る体裁を取っているが、実は書いているのは「妻」自身である(あとがきでバラしているので書いても構わないであらう)。著者の凄いところは「自分がなぜ他人と違うのか」を自分で徹底的に調べ上げ、自ら解答を見つけだしてしまったところであらう。人生に常に前向きなその姿勢には敬服させられる。今でこそ「妻」は自分なりに社会的ポジションを確保しているように見えるが、そこに至るまでの努力は並々ならぬモノがあったはず。そして途中から「妻」の人生に深く関わるようになった「夫」の努力もまた、並々ならぬモノがあったのであらう。
ワタシにはその「夫」の思いがよくわかる(笑)。なぜならウチのカミさんも本書の「妻」とよく似た言動をするからだ。フツーはこうなるだろう、と思えることがなんでこうなっちゃうの? ということが我が家ではよくあるのだが、正直な話、本書によってカミさんのその不可解な言動のかなりの部分が解明されたように思う。おかげでだいぶ気が楽になった。(*´∀`*)
ちなみに、ググっている過程で『自閉症スペクトラム指数(Autism-Spectrum Quotient: AQ)自己診断』なるページを発見した。興味のある方はやってみるのも一興かと。ワタシは28点だったので普通らしい。自分では高機能自閉症に当てはまりそうな言動をよくやってると思うんだがなー。
なお著者自身のサイトはこちら→ 『Alien Mind』
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 読書録:「『雪風ハ沈マズ』」豊田 穣(2013.10.28)
- 読書録:「とんかつ奇々怪々」東海林 さだお(2013.09.01)
- 読書録:「レッド・ドラゴン侵攻!(全4部)」ラリー・ボンド(2013.09.01)
- 読書録:「ネコの亡命」椎名 誠(2013.05.07)
- 読書録:「ハーンの秘宝を奪取せよ」クライブ・カッスラー&ダーク・カッスラー(2013.05.01)
コメント