読書録:「韓国軍北侵」デイル・ブラウン
韓国軍北侵〈上〉
韓国軍北侵〈下〉
デイル・ブラウン
訳・伏見 威蕃
二見文庫ザ・ミステリ・コレクション
\733(上・下とも)
2001年6月25日初版発行(上・下とも)
2009年3月14日読了
未だ冷戦構造が続く東アジアにおいて、その最前線ともいえるのが朝鮮半島であらう。何しろ形式上はまだ朝鮮戦争が終わっていない。本書では、その朝鮮半島が韓国によって“ほとんど血を流さずに”(とはいえ北朝鮮からの核ミサイルなどで10万人程度の韓国人が死んだようだが)統一されてしまうのだ。日本に対してグダグダいう国がひとつ減るのは実に喜ばしいことではあるが、前作『台湾侵攻』で左派政権となった日本は在日米軍をほとんど追い出し、自衛隊を国軍化しロシア製の戦闘機を装備するような国になってしまっているので、永井和美首相を始めとする日本政府首脳や日本国民が韓国をどう思っているのかはよくわからない(笑)。
それはともかく、統一のどさくさで核兵器を手に入れた“統一コリア”は次第に暴走を始め(まさに「基地外に刃物」(^◇^;))、中国との全面戦争の危機が迫る。『台湾侵攻』の中で極東アジアに対するプレゼンスを失ったアメリカに残された対抗手段はただひとつ、母体をB-52からB-1に変えて復活した“EB-1Cメガフォートレス空中艦隊”のみ・・・。
物語のほとんどが朝鮮半島統一のゴタゴタとEB-1C飛行隊誕生の経緯を描くことに割かれていて、肝心のEB-1Cが活躍するのが物語の終盤になってからなので、その点では不満がないではない。しかし逆に、EB-1C搭乗員として白羽の矢を立てられるネバダ州兵空軍B-1B飛行隊(ちなみに飛行隊長は『ロシアの核』でRF-111Gに乗っていたレベッカ・ファーネス中佐)の訓練の様子は克明に描かれていて興味深い。もっとも、朝鮮半島上空を想定した訓練シナリオで、当事国を「神をも畏れぬ共産主義国北キムチ」「神を敬う親アメリカ民主国家南キムチ」としていたのには思わず吹いてしまったが(笑)。
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