読書録:「スーパー・ウェポンの逆襲」チャールズ・ライアン
スーパー・ウェポンの逆襲
チャールズ・ライアン
訳・伏見 威蕃
二見文庫ザ・ミステリ・コレクション
\728
1993年5月25日初版発行
2009年4月8日読了
AI(人工知能)で制御された兵器がなんらかの外的要因で暴走する、というのは2005年の映画「ステルス」でもモチーフとなったが、なまじ高性能なだけに人間が制御できなくなると始末に負えない。ましてやソレが、世界を破滅に追い込めるくらいのトンでもない破壊兵器であったなら・・・。
本書はまだソ連が健在だった1990年に書かれたものなので、鉄のカーテンの向こう側で『悪の帝國』ソ連はそんなトンでもないステルス攻撃機“サブリャー”(=サーベル)を極秘裏に開発していたのである。それが最初のテスト飛行でいきなり暴走、フランスが核融合実験プラントを設置しているタヒチ島(フランス領ポリネシア)近くに不時着してしまう。不時着の衝撃でも壊れなかったAIが「自らに敵対するもの」と認識した周囲の物体を、低温核融合を利用する超強力なビーム砲でことごとく破壊し始める“サブリャー”を巡り、緊急展開した米ソ仏海軍の緊張が高まる中、たまたまそこにいた(冒険小説ではありがちな設定(^◇^;))アメリカの海洋学者ボナーの活躍や如何に・・・。
という物語なのであるが、なにしろ主役のウェポンが架空なのでイメージが沸かずどうもピンとこない。著者はパイロットではあっても軍人出身ではないせいか、航空機に関する描写もいまひとつ(もっともYak-38がアフターバーナーを装備していたり、空母コーラル・シーにF-14Aが搭載されていたり、Yak-38とF-14Aが空戦で互角に戦ったり、などというのは一般の読者にとっては些細なことなんだらうなきっと(^◇^;))。クライマックスの前段階としてフランスの核融合プラントが爆発するシーンなど、専門用語というかよくわからない用語が頻発して「ああ、そういうものなんだね」と思わないと先に進めないのもなんだかなー的。まぁそんなわけで、決して面白くないわけではないのだが、イマイチのめり込めなかったのが残念。
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