読書録:「ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?」柳沢 有紀夫
ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?
柳沢 有紀夫
新潮文庫
2009年2月1日発行
2009年4月18日読了
マスコミにとって「当たり前のこと」はニュースにならないが、「珍しいこと」はニュースになる。つまりマスコミが報道することは「珍しいこと」である、ともいえる。海外において日本が、日本人がニュースになる場合、たいていはマイナスイメージの出来事なのだが、それはそれが「珍しいこと」だからだ、と考えればなんということはない。
本書はオーストラリアに暮らす著者が、海外ではいかに日本が好かれているかを実体験をもとに綴っていく。一般の人は日本を嫌うどころか、むしろ憧れをもっているくらいなのだ、と著者はいう。日本人の「過剰反応」と「自虐的解釈」を戒め、ニッポン人よ自信を持て、そして自尊心を高めるのだ、と説くのである。
また、第6章では中国と韓国の政府及びマスコミが「日本人は世界の嫌われ者」説を率先して流し、アメリカ政府は「日本は世界の変人」と言い立ててきた、とする(ここで“政府”“マスコミ”とわざわざ付けたのは、著者が『しかし国民レベルで見ればそんなことはないよ』と書いているから)。それはまさにその通りである。ついでに言えば、「日本人は世界の嫌われ者」説を率先して流してきたのは他でもない、日本のマスコミである、という点にも触れてくれたならもっと良かったのだが(笑)。それはともかく、それらの国のご機嫌を取ろうと右往左往してきたのがこれまでの日本なのだ。だがしかし、もうそんなふうに他国の思惑にいちいち合わせるだけでは能がない。世界の中で、日本はもっと自信を持って事に臨もうではないか。そして今ほどそういう態度で国際社会に向き合うことが求められる時はないのだ。
というような気分にさせてくれる、なかなかにいい内容であったのだが、文庫本に付き物の「解説」がなかなか香ばしくて後味が悪いことこの上ない(爆)。解説を書いた韓国人のコンヨンソク・一橋大学準教授は、日本在住の外国人としてニューズウィーク日本版にコラムを書いていたこともあった知日派であるのだが、第6章についてはガマンならずに「日本の右派のステレオタイプを鵜呑みにしてしまった」と断じている。ワタシからみればコン教授こそ「韓国人の立場や考え方」というステレオタイプから見ていないか? と思うのだが、どんなもんだろうか。
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