読書録:「ソ連帝国再建」トム・クランシー&スティーブ・ピチェニック
ソ連帝国再建
トム・クランシー&スティーブ・ピチェニック
訳・伏見 威蕃
新潮文庫
\857
2000年8月1日発行
【カバーイラスト:佐竹政夫】
2009年11月21日読了
「オプ・センター」シリーズ第2弾の舞台はロシア。政府の中で大統領を情報から遮断することである種の“無血クーデター”を起こし、ソビエト連邦の再興を図ろうとする内務大臣。資金調達のために手を組んだマフィアが中米から日本経由で大量の軍資金を運び込もうとするも、飛行機の不調でウラジオストックから鉄道輸送を余儀なくされる。その現金輸送列車を巡る我らがストライカー・チームとロシア側諜報機関との手に汗握る攻防、というのがおおまかなストーリー。
これくらいの内容だと、トム・クランシー単独なら3分冊くらいの分量になったのではあるまいか(笑)。本書ではアメリカ政府とロシア政府との政治的なやりとりとか、クーデターのためにロシア軍を通す羽目になったウクライナやポーランドの動きについてはほとんど触れられておらず、現金輸送列車を巡るやりとりが内容のほとんどを占めている。だから読者はドンパチに集中できるともいえるが、一方で物語としては広がりに欠ける嫌いがあって、このへんは好き嫌いが分かれるような気がする。ワタシとしては、もうちょっと政治的な駆け引きを見せて欲しかったと思う。
とはいえ、決して面白くないわけではなく、クライマックスでストライカーチームが暴走機関車から脱出するシーンなどは、瞬きする間も許さないくらいの迫力で一気に読ませてくれる。次回作(欧米掃滅)は上下巻に分かれているので、物語により深みが増していることを期待しやう。(^o^)
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