読書録:「僕の見た「大日本帝国」」西牟田 靖
僕の見た「大日本帝国」
西牟田 靖
角川ソフィア文庫
\895
2010年7月25日初版
2010年8月29日読了
戦争物企画第2弾はあまり肩の凝らなそうなモノにした。1970年生まれの著者が日本じゅうをくまなく走るバイクツーリング中、ふと行ってみたくなったサハリン。そこで見た鳥居が著者の好奇心を呼び覚まし、台湾、朝鮮半島、中国東北部(かつての満州国)、さらにマリアナ諸島、パラオやミクロネシアのチューク諸島(トラック諸島)にまで脚を伸ばし、そこに残る「かつての大日本帝国」の痕跡を訪ねて回る旅へと“進化”そして“深化”していったのだった。
それぞれの土地で「かつての大日本帝国」の痕跡は、あるいは忘れ去られたり、あるいは日常の一部となっていたり、ノスタルジーや憎しみの対象となりもすれば、はたまた商売道具になったりと、様々な形で確かに残っていた。それは、今そこで暮らす人々が「かつての大日本帝国」をどう捉えているのかが、形になって現れたものなのだ。
これは昔風に言う「ノンポリ」な著者だからこそ書けた本ではないかと思う。本書では政治的傾向はほとんど感じられない。そういった『色眼鏡』を通さない、見たままの姿をそのままに写し取っているため、本書の内容はすんなりと頭に入ってくる。この手の題材でそんなモノの見方ができる著者が、ワタシとしてはある意味うらやましい(笑)。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 読書録:「『雪風ハ沈マズ』」豊田 穣(2013.10.28)
- 読書録:「とんかつ奇々怪々」東海林 さだお(2013.09.01)
- 読書録:「レッド・ドラゴン侵攻!(全4部)」ラリー・ボンド(2013.09.01)
- 読書録:「ネコの亡命」椎名 誠(2013.05.07)
- 読書録:「ハーンの秘宝を奪取せよ」クライブ・カッスラー&ダーク・カッスラー(2013.05.01)
コメント