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2010.10.23

読書録:「「影」の爆撃機」デイル・ブラウン

「影」の爆撃機(上)「影」の爆撃機(下)「影」の爆撃機(上)(下)
デイル・ブラウン
訳・伏見 威蕃
二見文庫ザ・ミステリ・コレクション
\790(上・下とも)
2002年10月25日初版発行(上・下とも)

2010年10月23日読了

 この「ドリームランド・シリーズ」というか、主人公の名を取って「パトリック・マクラナハン・シリーズ」とでも呼ぶべきか、とにかくこの一連のシリーズものは、回を追うごとに設定がSF的になっていく(笑)。「敵」側が秘匿していたロシアのステルス戦闘爆撃機というあたりまではよくある設定だが、主人公側が繰り出す“秘密兵器”の数々は、現代のテクノロジーでは未だ実現不可能だろう、というものばかり。なのでこのシリーズはいわゆるテクノ・スリラーというよりSFモノとして読むのがいいのかもしれない(笑)。

 今作でアメリカは大統領が替わったのだが、その新しい大統領の外交・軍事政策がいわゆる一国平和主義(言い換えれば「ひきこもり」)のようなもので、欧州地域から米軍をほぼ全て引き上げさせてしまう。パワーバランスが大きく狂った欧州で、麻薬で財をなしたロシア人実業家がステルス戦闘爆撃機Mt-179を使って自身の野望を達成してしまうのだが、政治の後ろ盾を失ったHAWC(ハイ・テクノロジー航空宇宙兵器センター)と副司令官マクナラハンはその事態にどう関わり、どう収拾させるのか。

 本書を読んで痛感するのは「政治がだらしないとダメだよね」ということ。世界の各国が自分の国のことだけを考えるようになってしまったら、特にアメリカのように、良きにつけ悪しきにつけ全世界に影響を及ぼしうる国がそんな政策を取ったなら、それこそエライ騒ぎである。第三次世界大戦だって簡単に起きてしまうだらう。外交って大事だし、しかも軍事とセットでないとやっぱり有効に機能しないよね。ま、もちろん現実世界では、G8首脳クラスの皆様方はここまで愚かではないと信じたい。極東の某国だけはちょっとシンジラレナイのが悲しいとこだが。(´・ω・`)

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