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2011.07.06

読書録:「欧米掃滅」トム・クランシー&スティーヴ・ピチェニック

欧米掃滅(上)(下)
トム・クランシー&スティーヴ・ピチェニック
訳・伏見 威蕃
新潮文庫
\590(上)・\629(下)
2005年3月1日発行(上・下とも)
【カバーイラスト:佐竹政夫】

2011年7月4日読了

 「オプ・センター」シリーズ第3弾である。本書の“わるもの”は、表ではネオナチ運動を支援し、裏では人種差別を煽るネットゲームを配信することで欧米の人種間の緊張を高め、その機に乗じて社会の支配を図ろうとする。一方、アメリカ人がドイツで騒ぎに巻き込まれたことから、アメリカもその騒動に介入せざるを得なくなり、たまたまドイツにいたストライカーチームがその企てを阻止するべく活動を開始する。果たして陰謀は阻止できるのか――。

 オプ・センターの車椅子の情報官、ボブ・ハーパート大活躍の巻である。単身ネオナチの集会に乗り込み、カーチェイスを繰り広げ、夜の森を疾走し銃撃戦を展開する。とてつもない運動能力である。また、第2作でリーダーを失ったストライカーチームだが、本作ではオプ・センターのポール・フッド長官が「ぼくと契約してリーダーになってよ」と口説いている空軍のブレット・オーガスト大佐が、クライマックスでMV-22オスプレイに乗って大活躍である。

 正直なところ、たかがネトゲ(敢えて言う)が国をひっくり返せるほどの影響力を発揮できるとは思えないし、クライマックスでオスプレイがやることは現実には絶対にできないと思う。そういう点でちょっと設定に無理があるやうな気もしないではないけれど、本作の重点はそこではない。突然現れた昔の恋人の存在に振り回されるフッド長官、“わるもの”との関係に苦悩するドイツの政治家(最後に大活躍)、ドンパチは好まないのに成り行きで“わるもの”の本拠地に一緒に突入することになったオプ・センターの作戦支援官、マット・ストールの土壇場での活躍など、登場人物の人間模様こそが本作の値打ちなのである。

 余談だが、オーガスト大佐は飛行機モデラーという設定になっていて、旧友であるオプ・センター副長官マイク・ロジャーズ陸軍少将とはモデラー仲間なのだそうだ。物語の最後の最後、フッド長官に「オーガスト大佐に快く迎え入れられたという印象を持ってもらうために、なにかできることはないか?」と尋ねられたロジャーズはこう答える。「昼どきにワシントンまで行って、レヴェルのメッサーシュミットBf109のプラモデルを捜してくる。子供のころによくこしらえたんだが、それだけがやり残した大物なんだ」この台詞に出てくるキットはたぶん、レベル1/32のBf109Gのことではないかな。これ、古いからeBayとかで捜したほうが早かないか?(笑)

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