読書録:「どんな人生にも雨の日はある」景山 民夫
どんな人生にも雨の日はある
景山 民夫
新潮文庫
\388
1992年11月25日発行
2011年9月23日読了
本書は1984年から1989年にかけて種々雑多な雑誌に書いたエッセイなどを集めたもの。なので書かれていることは著者の日常から脱原発までものすごい幅がある。正直「これどーよ」と思う内容も見受けられ、例えば「東京以外の土地に生まれ育った人間を田舎者と言っているのではない」(著者は東京生まれ東京育ち)と言いつつ、著者の故郷東京をどんどん変質させていく地方出身者を一様に「田舎者」と総称し「百姓」を蔑称として使っていたりする。あるいは「いまの若者が怖い」とかいって借り物の『情報』に踊らされる若者(ちなみに1988-1989年ごろの話)を嘆いたりしているが、自らが長らく関わってきたテレビ界にもその原因の一端があることには全く触れていないとか。
この部分を読んでいて著者を嫌いになりかけたが(笑)、次の いとうせいこう との脱原発対談でちょっと見直した。福島第一原発の影響で「反原発」が流行っている昨今だが、『即座に原発を停めてふんだららー!』と声高に主張するヒステリックな連中とは違い、「原発問題はライフスタイルの問題だし、ビジョンの問題だよね。いったい日本はこの先どういう国になって、どういう暮らしができるのか、そのときに原子力発電を止めるとすると、どういう影響があるのか。そういうビジョン全体を見たい」(これは いとうせいこう の発言だが)という具合に、根本的なところからきちんと本質を見たうえで「脱原発」を語っている。代替エネルギーの目処が付くなら脱原発でいいんじゃね?と思っているワタシ的には、こういう風に「ちゃんと話が出来る人」となら分かり合えるような気がする(笑)。
しかしこの対談、初出は1988年である。23年経っても通用する内容ってなんなんだかなー…。
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