読書録:「遭難船のダイヤを追え!」クライブ・カッスラー&ジャック・ダブラル
遭難船のダイヤを追え!(上)(下)
クライブ・カッスラー&ジャック・ダブラル
訳・黒原 敏行
ソフトバンク文庫
\600(上・下とも)
2007年10月31日初版発行(上・下とも)
2011年10月22日読了
「ダークピットシリーズ」「NUMAファイルシリーズ」(いずれも新潮文庫より刊行)に続く、カッスラーの第3のシリーズの登場である。主人公は、一見するとオンボロ貨物船に偽装したハイテク武装秘密工作船「オレゴン号」を操る、保安業務請負会社(いわゆる民間軍事会社みたいなものか)『コーポレーション』の会長、ファン・カブリーヨ。前のふたつのシリーズとの最大の違いは、主人公が民間企業の人間であること。つまり利益を出すことが大前提なのだ。
…とはいっても、なんとなーく「利益はあとからついてくる」てゆーか「捕らぬ狸のなんとやら」みたいな首の突っ込み方をしているような気がしないでもない。利益を出そうとするなら事前にシミュレーションのひとつもやりそうなもんだが、この会社は会長の勘だけで動いてるような気がしないでもない(笑)。まぁしかし、その勘が外れることはないことはお約束。しかも美女までゲットしてしまうのもまたお約束だったりして。
訳者あとがきに「オレゴン号はまさにあの《サンダーバード》の秘密基地だ」「カブリーヨは(中略)《サンダーバード》ごっこをやっているのだ」と書かれているが、確かにそれは言い得て妙である。ミソは「頼まれもしないのに首を突っ込む」というところだらうか(笑)。まぁでも、読んでて痛快なのでそんな細けぇこたぁ(ry なのである。
本書(原題「Skeleton Coast」)は実はこの「オレゴンファイルシリーズ」の4作目。前3作のうち直前の3作目「Dark Watch」は本書の後で「日本海の海賊を撃滅せよ!」の邦題で同じくソフトバンク文庫から出版された(もちろん買ってある)。シリーズ物は最初から読むに越したことはないが、英語など読めるワケのないワタシが未訳の原書を読めるはずもなく、それなら日本での刊行順に読んでもいいかなと思い本書を最初に読んだ次第。ダークピットシリーズも最初に翻訳されたのは3作目の「QD弾頭を回収せよ」(原題「Vixen03」)だし、それを最初に読んでから前の作品に遡っても特に違和感など感じなかったので、本シリーズでも大丈夫だらう。
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