読書録:「200X年、緊迫のイラク上空戦」ロバート・ガンツ
200X年、緊迫のイラク上空戦
ロバート・ガンツ
訳・冬川 亘
扶桑社ミステリー
\933
2003年2月28日第1刷
2012年4月19日読了
まずこの味も素っ気もない上にいかにも狙ったようなあざとい邦題をなんとかしてほしい(笑・ちなみに原題は“With Hostile Intent”、「敵対的な意図をもって」みたいな意味。当たり前だが内容的にはこちらのほうが相応しい)。内容は元エビエーターが書いた物だけあって飛行シーンなどは悪くない。登場人物のキャラが判りやすいというか誇張しすぎているきらいがあるものの、デイル・ブラウンの褒め言葉「いかにもいそうなキャラクター」を作ることには成功している。だがしかし、話の筋は「それはあんまりだろオイ」という感じの、ある意味トンデモと言っていいような極端なものである。実際にこんなことが起きていたとしたなら、もしバレたら海軍潰れるぞ、テイルフック事件などお茶のみ話みたいなもんだぞこれ…的な話なのであるから(笑)。
それとどうも翻訳者がこの手の航空物、ミリタリー物に不慣れなようで、スラングを直訳してしまっていたりするのが飛行機マニア的には引っ掛かってしょうがない。たとえば無線交信で「敵機」を表す“bandits”をそのまま「山賊」と訳されてはずっこけてしまう。クライマックスのイラク空爆シーンでは余りにも「山賊」が頻発するんで、米海軍が山狩りにでも行ってるのかと思ってしまうくらいだ(笑)。「機首を熱くして/冷たくして」というのも、恐らくレーダーを作動させてとか停止してとかいうことなのだらうなぁ。そんな辺りがちょっと残念だったりもしたのだった。
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