読書録:「真珠湾-十二月八日の終戦」池上 司
真珠湾-十二月八日の終戦
池上 司
角川文庫
\819
2004年11月25日初版発行
2013年2月16日読了
1941年(昭和16年)12月8日に行われた日本海軍によるハワイ・真珠湾攻撃。事実上の太平洋戦争の開戦であるが、本書はここに至るまでのある諜報員の『戦い』を描いたもの。主人公・降川猛夫のモデルとなっているのは実際に開戦前のハワイに於いて諜報活動を行っていた元海軍少尉・吉川猛夫で、ハワイに於ける彼の活動と戦争へと至る日本政府や軍部(主に海軍)の動きを並列して追いながら、開戦前の緊迫した情勢を見事に描き出している。
時にサブタイトルの「十二月八日の終戦」は、降川が行っていた活動が12月8日で終わったことを指しているのではないかと思うが、降川は海軍側の人間として開戦準備のための諜報活動をしていたので、厳密にはこの時『終戦』を迎えたのは戦争回避のために行動していた外務省の担当者や駐米大使なのではないかという気もする。
それはそうと、太平洋戦争開戦前の国際情勢や日本の政治情勢などを知るにつけ、「アメリカ相手に事を構えるなんて無謀な」などというのは後知恵に過ぎないと思わざるをえない。確かに当時最大の貿易相手国であり、特に石油の8割までもを依存していたアメリカと戦争するなんて信じられないとも思うが、当時の日本を取り巻く国際情勢下に於いては『それ以外にやりようがあったか?』という気にもなってしまう。もちろん日本の自業自得な面も多々あるのだが、せめてルーズベルトが「日米協定基礎概要案」(いわゆる“ハル・ノート”)を日本に突きつける前に陛下に親電を発してくれてたらとか、そもそももうちょっと寛大であったらなぁとか、いろいろ思ってしまうじゃなイカ(笑)。あの時あの状況下であんな内容の“ハル・ノート”なんて突きつけられたらどんな国だって『ふざけんな!』と噴き上がると思うぞ?
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