読書録:「超人探偵 南方熊楠」辻 真先
超人探偵 南方熊楠
辻 真先
光文社文庫
\447
1996年6月20日 初版1刷発行
2013年3月16日読了
正直言って南方熊楠という人物については名前くらいしか知らない(爆)。なんか博識でぶっ飛んでた人みたいだな、ということだけは本書を読んだので判る(笑)。雑誌編集者・服部健太郎と妻の知香のコンビが謎を解くこのシリーズ、3作目の『零下四十一度の義経伝説』に続いて舞台は架空の町。熊楠の出身地、和歌山県の南紀白浜と紀伊田辺の間にある八名市のタウン誌編集指導を任された健太郎。知香とともに訪れた八名市で彼らを待ち構えていたのはやはり殺人事件だった。しかしこの作品ではなんと、熊楠が謎解きの手助けをするのである。さてどうやって?…というのは本書を読んでのお楽しみ。
今回のトリックもかなり際どいモノではあったが、まぁできなくはないかな的。また、ちょっと登場人物が多くてけっこう複雑に絡んでいるので若干混乱しそうにもなった。それとやはり17年前に書かれた作品だけに登場人物がまだ誰も携帯電話を持っておらず(普及し始めてはいたはずだが)、「それがあればずいぶんと捗ったろうなぁ」というシーンがいくつか。幸いワタシはその頃がそういう時代であったことをリアルタイムに知っているので、「あーそうだったよねこの頃は」とすんなり理解できたが、今の若い人にはピンとこないかも。古いミステリーだと「今なら当たり前のことが当たり前でない」故にトリックに使われてたりすることもあるので(1958年に単行本が出版された松本清張の「点と線」では、『国内を飛行機で移動する』ことがトリックに使われた)、読む側もそれ相応の知識が必要だったりもするのである。
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