F-16A FSD1号機に関する一考察(ハセガワ/ドイツレベル/ローンスター1/72 YF-16/YF-16A/F-16XL その2.5)
今回のF-16量産、ドイツレベルのキットでF-16A FSD1号機(長いので以下FSD1とす)を作っており、これをなぜドイツレベルで作っているかというとストレート組みでブロック1/5/10が再現できるから、ということは『その0』で書きました。とはいえ、実際にはFSD1とブロック1/5/10は細部においてかなりの相違点があるので、そこを調べ上げて可能な限り先祖返りさせてやらねばなりませぬ。
また、調べていくうちにこの写真の状態(恐らくロールアウト直後)とその後試験が始まってからの状態も異なり、試験が進むに連れてあちこち変化していくことも判ってきました。そこで今回はあくまでもこの写真の状態にするべく、相違点を調べていくことにしますた。
このFSD1の初飛行は1976年12月8日。『古い機体の資料は古い本に宿る』という諺の通り(どこの諺じゃ)、この頃の機体の写真は当時の出版物が一番頼りになるのです。左写真に写っている航空ジャーナル別冊は1979年6月の発行で、F-16は米空軍で部隊配備が開始され、NATOでは引き渡しが始まったまさにその頃。これが一番役に立ちましたです。右写真には同じ「ジェット・ファイター」というタイトルで表紙写真が違う航空ファンイラストレイテッドが2冊ありますが、これは右の本が1981年1月に出た初版、左のは1982年2月に出た改訂新版です。F/A-18の部隊配備が進行したことなどを受けて写真が若干差し替えられてます。
一番右のモデルアート別冊は、まだMCIDインテークがパーツ化されていなかった頃に出たF-16C本ですが、この中にあるハセガワ1/32のFSD1号機の作例が実はけっこう役に立ったりします。(^^;)
それはともかく、これらの本の中身とあまり多くはないネットから拾った画像で考証をば。(`・ω・´)
まずはこれ。最初に上げた写真をトリミングしたものだす。この1枚だけでけっこうな差異が読み取れます。
(1) 機首両側面のRWRアンテナがありません。
(2) インテーク側面のACLがありません。側面に書かれた黒い丸印はYF-16にあるものと同じ?
(3) 胴体背面の左右に小さなアンテナが生えてます。
(4) 主翼端のランチャー付け根上下に翼端灯の出っ張りがありません(翼端灯はどこに?)。
(5) 垂直尾翼のラダー下方のRWRアンテナがありません。
次は飛行試験を開始したFSD1。後ろはFSD2号機かしらん。
(6) インテーク下面のブレードアンテナなどがなく、左側面下方に全温度センサーブロープ、また下面には何かセンサーのような突起が出ています。
ちなみに、全温度センサーブロープは量産型でもブロック1/5/10まではここに付いてますが、ブロック15以降はインテーク両側面下方をハードポイント(Stn5L/5R)にしたため右ストレーキ下面に移されました。
なお機首のヨーインジケータ付き標準ピトー管(赤の四角内)は初飛行時には付いていたようなので、逆に量産型と同様のピトー管が付いている一番上の写真はロールアウト時ではないかと思われるのですが、どうなんでせう。
【追記】航空ファンイラストレイテッドNo.10「F-16ファイティングファルコン」に載っていたこの写真のキャプションに、『写真は同機のロールアウト当日、1976年10月20日の撮影』とありますた。
この写真の頃にはインテーク下面に長方形のブレードアンテナが付いてます。
(7) 前脚収納部後方の胴体下面に左右一対の小さなアンテナ。胴体背面にあるものと同じものでせうか。
FSD1ではありませんが、インテーク周りの状況から見て上の写真の頃と同じくらいとみていいでせう。
(8) ベントラルフィンの間のブレードアンテナがありません。主翼の翼端灯がないのも見て取れます。これ、デテスケをよくよく見たらFSD1のベントラルフィンの間を写したそのものズバリの写真がありました。(^^;)
(9) 垂直尾翼端のACLの基部になっている菱形のプレートが小さい。
ざっとこれくらいでせうかね。いずれも小改造でなんとかなるものばかりなので、どうにかできるんじゃないですかぬ。(`・ω・´)
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